筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の回復に向けて

慢性疲労症候群と診断された私の体験談。

専門医にたどり着くまで②

 個人病院で治療を始めて1ヶ月経った頃、数ヶ月前に予約していた会社の健康診断があり、人間ドック専門のクリニックに行きました。
問診票には慢性疲労症候群であることと、処方されてる薬を書いておきました。

内科診察の時、女性の医師が問診票の記載を見て
慢性疲労症候群なんですか?大変でしょ?」
「はい、しんどいです。」と私。
「専門医には診てもらったの?」
「専門医?いえ、よくわからなくて個人病院に通院してます。」
「正直、こんな漢方ばっかり沢山飲んで、これが効くのか私は疑問。
専門医を探して診てもらうとか、きちんと検査出来る病院で診てもらう方がいいと思うわ。
大きな病院だからといって検査が出来るとは限らないから、慢性疲労症候群の検査が出来るのか確認して。
それと、全て保険で診てくれる事。」
このドクターの助言は、後になって言われた意味がとても分かり、本当にありがたい言葉だったと感謝しています。
健康診断の2~3時間だけでクタクタになり、帰宅。
熱を測ると37.8℃。『健康診断だけで熱出るって、なんでやねん』でした。


数週間後に届いた健康診断の結果も特に問題なし。
体調は良くならないまま、予約の日も起き上がれなくて、行ける力がある日にいつもの病院へ行きました。
「仕事辞めたら?辞めたら良くなると思うよ、1ヶ月もしたらピンピンしてると思うよ。」
「えっ、でも私も生活費稼がないといけないし、年齢的にも再就職難しいと思うし、辞めれないです。」
「でも今までで何も良くなってないんだから。仕事がかなり負担になってるんでしょ。」
「そうかもしれないけど、いきなり辞めるって…。」
すったもんだのやり取りの後、とりあえず診断書を書いてもらって、1ヶ月間休職することで話は落ち着きました。
やはり医者って自分たちの世界しか知らない、日本の会社員の現実なんてわからないんだと思いました。


上司に連絡したり、必要書類を送ったりして、仕事に行かなくて良いとなった途端、翌日から全く起き上がれなくなりました。
人の気合って凄いですね、本当に気力だけで仕事に行っていたということ、どれ程無理して行っていたのかが分かった瞬間でした。
一週間程、寝たきりでした。
横になったまま、移動はトイレのみ。
食事の準備や洗濯、家事は夫がしてくれてたと思います。
思いますというのは、記憶力や思考力もおかしくなっていました。
動けなくなって頭に浮かんだのが女性ドクターの言葉。
『専門医探しておこう…。』
スマホの画面を見ると眩しくて眩しくて、目がチカチカするので長時間見れませんでしたが、目を休ませては検索を繰り返し専門医を探しました。


休職してから1ヶ月程経った診察の日、この日も重い体を引きずるように病院へ行き、待合室では長椅子にもたれているのもやっと。
名前を呼ばれて診察室の扉を開けると
「もう、心療内科行って!ドア開いた瞬間分かったわ!憔悴しきってるやん!」
はあ?心療内科??どうして?
情け無いやら、腹が立つやら、でも悲しい事に怒る元気が無い…。医師は看護師に心療内科の紹介先を探すよう指示。
『なんだよそれ…。そうだ、専門医。』
「〇〇病院の〇〇先生!慢性疲労症候群の専門医と見た覚えがあります!そっちも紹介状書いて下さい!」
心療内科は行かないつもり?」
「行きます。」
「そんなん、〇〇先生に失礼じゃない‼」
「紹介状もらったからって直ぐに予約取れるとは限らないし、会社の休職延長するのには診断書が必要なので、
どこの病院にもかかってない空白期間が出来たら困るんです。」
「じゃ、心療内科の紹介状に〇〇先生の件も書いておくからね!」とキレ気味に言われ、
「脈も測っておくわ。」と触診で脈をとって
「脈は元気そうやけどね!」と捨て台詞。


他の患者さんのブログでも、ME/CFSの事を知らない医師が必ずと言っていい程登場します。
心療内科の話も必ずと言っていい程出てきます。
家から近い医師がダメな訳ではありません。心療内科に行く事もダメな訳ではありません。
専門医が心療内科に所属している場合もありますからね。
肝心なのは、ME/CFSを治療できるだけの知識と経験があるかどうか?なのです。

専門医にたどり着くまで①

当初の私の症状と、専門医に診察してもらえるまでの経緯をお話します。

それまで普通に仕事して、普通に生活してました。
それがある時期から、特に変わった事もしていないのに、なぜか疲れて疲れて
「あー、疲れた。あー、しんど。」が口癖のようになっていました。
毎朝起き上がるのもやっと、どうにかこうにか出勤し、仕事を終えて帰宅する頃にはクタクタ。
『嫌だ、こんなに疲れやすい歳になったのな。一晩位じゃ疲れも全然取れないし。』と思っていました。


そんな状態が1ヶ月、2ヶ月3ヶ月…と進むにつれ、熱があったりなかったり。
腰も痛くなり肩から背中は凝りが酷い様な強烈な痛み、喉も何だか痛い…。
不具合はどんどん増えていました。
『疲れ過ぎて免疫弱ってるのかな。』
休みの日はほぼ寝たきり。一日中横になっていても体のだるさ、疲労感は全然取れないし、連休してやっとどうにか起き上がれるくらい。
仕事の帰りには痛みと倦怠感に涙が出そうでしたが、それでも疲れが取れない、回復しないのは年齢によるものと思って通勤してました。


更に数ヶ月経って、この頃には常に高めの微熱が有り『私の骨は鉛製ですか?』というほど全身が重く、
いよいよ『これは疲れじゃないかも。』と思ったのは、みるみるうちにどんどん痩せていったからでした。
『体力付けなきゃ、栄養摂らなきゃ。』と空き時間の度に食べていたし、
体重が減っていることに気付いてからは寝る前にも食べていたのに、約1ヶ月間に4㎏痩せました。
スカートはグルングルン回る、パンツはずり落ちてしまう。
怖くなって定期検診で総合病院の婦人科を受診した際に、この数ヶ月の状態と体重の減少を説明し、色々検査してもらいました。
しかし検査結果は…どこも何も引っかからず。
『こんなにしんどくて、熱もあってどんどん痩せていくのに病気じゃないって事?』訳がわかりませんでした。


それから数日後、テレビを付けて出勤準備をしていると
「3項目のうち2項目以上当てはまる方は病院へ。」とアナウンス。
何気にチェックしたら『えっ!?😲当てはまってますけど私!?』
たまたま付けていた番組がME/CFSを取り上げていて、
『私これ?慢性疲労症候群?何それ?』となったのでした。


次の平日の休みに信頼していた内科の医師の所へ行きました。
総合病院で話した事と同様に、数ヶ月間の症状、この1ヶ月で4㎏痩せた事、検査結果も見せて
「テレビで見たんですけど、慢性疲労症候群では無いでしょうか?」
診察後、医師の診断結果は
「うん。お見立て通り、慢性疲労症候群だと思うよ。」
でもその時ME/CFSの事を知らなかった、全然わかっていなかったんです、私もこの医師も…。


肩や背中の凝りをほぐす運動とマッサージをするように言われ、漢方薬数種と筋肉をやわらげる薬を一週間分処方され、帰宅しました。
薬がなくなる頃に受診、薬を変えてみたり増やしたり。
数週経っても快方に向かう兆しはありませんでしたが、
薬も飲んでいるんだし、医者にかかっているのだから、治っていくものと思い込んでいました。

はじめに。

 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(以下ME/CFSと表記)の患者の方々の参考になればという気持ちと、この病気に対する認識と理解が広まればという思いで、ブログに書き記す事にしました。

私自身も、ME/CFSの症状は厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準で分かりましたが、回復の為に何をすれば良いのか、何が良くないのか、どういう過程をたどるのか等、知りたい事が全く分からず、患者の方々のブログを読みまくり情報を得、随分助けられました。

ただ情報が欲しい時は、症状が重く辛い時期でしたので、一人一人のブログを遡って読んでいくのはとても大変でした。その経験を踏まえて、日々の状況を綴るのでは無く、振り返ってまとめる感じで書いていこうと思います。

但し、全てはあくまでも私の病状・体験・考えで書いておりますので、参考になさった結果の病状等については、一切の責任は負いかねますのでご承知おき下さい。

 

 まず、このブログにたどり着いた方は、ご自身又はご家族、お知り合いがME/CFSと診断された、あるいはそうではないか?という状況なのだと思います。

 いずれにせよ専門医を探してそちらで受診なさることをおすすめします。

 なぜなら、ME/CFSと診断する・病名をつける、ということと、治療する・治療出来るだけの知識や経験がある…は別だからです。

ME/CFSの専門医は非常に少ないです。

たぶん全国に数名、探すのも受診するのも大変だと思います。

ですがこの病気は、薬を飲んで横になっていれば治る病気ではありません。

患者さんに合った薬を処方し、生活指導を適切にするということが必要不可欠だと私は思っています。

専門医の居る病院への通院が困難な場合は、専門医から通院出来る範囲の病院や医師を紹介してもらうといいと思います。

専門医の予約も数ヶ月待ちがほとんどですので、近くの病院で受診しながら探しておかれるといいでしょう。

 

 そして、お仕事を続けていらっしゃる方は、色々事情や不安もあるかと思いますが、早急に長期休むようにして頂きたいです。

ME/CFSは、残念ながら一日二日、一週間二週間で治る病気ではありません。

すでに症状が出ているのですから、仕事をしながらの回復は非常に難しく、悪化していく方が多いと思います。

かなり個人差があるようですが、働ける程の回復には数ヶ月、あるいは数年かかると覚悟して、療養に専念して頂きたいです。

私の場合で言えば、比較的早い段階で専門医にかかり休職しましたが、それでも1年経ってもパートやアルバイトが出来るまでには至りませんでした。

『えーっ、ショック…。』と思われたかもしれませんが、あなたがどうなるかは分かりません。とりあえずは社会復帰・職場復帰よりも日常生活を送れるようになる事が先です。

 最優先は、体と脳を休ませる です!

 

  

 

 


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